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地すべりとは
地すべりは土壌が比較的ゆっくりと滑り落ちる現象で、大雨だけではなく融雪や地震がきっかけになることもあります。まず地中内部で現象が起き始め、ある段階になると地表への影響が現れてきます(出典はこちら)。一旦地すべりが起こると移動する土砂の量が多いため甚大な被害に結びつく場合があります。そうした特徴を持つ地すべりの前兆現象について見ていきましょう。
過去の地すべりと前兆現象が現れた時間
過去の地すべりの前兆現象をまとめた資料が次の図です。これを見ると、地すべりの兆候が現れたり、活性化し始めたりしてからでも災害発生まである程度時間的な幅があることがわかります。長いものでは月単位、年単位で兆候が現れ、大雨などにより地すべりが活発化してからも前兆現象が日単位で現れています。そして発生の直前になると時間単位で異常が矢継ぎ早に観測されました。
切迫性のある前兆現象
地すべりの前兆現象を避難に活かすためには、前兆現象の中でも状況が切迫していることを示すものを覚えておくと良いでしょう。国土交通省のレポート(こちら)では切迫性のある前兆現象を以下のようにまとめています。ただし、「これらの現象はかなり前から発生することもあり、時間的切迫性のタイムスケールは長い場合がある」という解説がつけられています。
切迫性が極めて大
- 地鳴り・山鳴り
- 地面の震動
切迫性大
- 池や沼の水かさの急変
- 亀裂・段差の発生・拡大
- 落石・小崩落
- 斜面のはらみだし
- 構造物のはらみだし・クラック
- 根の切れる音
- 樹木の傾き
切迫性やや小
- 井戸水の濁り
- 湧水の枯渇
- 湧水量の増加
まとめ
地すべりについては雨量との関係がはっきりしないため、土砂災害警戒情報や大雨警報(土砂災害)の危険度分布の発表対象ではありません(詳しくはこちら)。地すべりの危険性が高いと判明している場所では前兆現象が発生していないかを確認することが重要と言えるでしょう。