• Skip to primary navigation
  • Skip to main content
  • Skip to primary sidebar
  • Skip to footer

suigaitaisaku.com

水害対策に情報を

  • 著書のご紹介
  • 渡邉俊幸について
  • 仕事の依頼
    • 原稿を依頼する
    • 講師を依頼する
    • アドバイザー業務
    • 業務実績
  • 読む水害対策
    • 【ステップ1】災害リスクを知る
    • 【ステップ2】防災対策を組む
    • 【ステップ3】情報で判断する
  • 寄稿記事
    • リスク対策.com
  • お問い合わせ

深層崩壊の危険性の高まりをどう把握するか

この記事の目次

  • 深層崩壊は土砂災害警戒情報の対象外
  • 雨量を目安に考える
      • 降り始めからの雨量で400ミリ
      • 降り始めからの雨量で600ミリ以上
      • 雨の降り方による影響もある
  • マスコミ報道を手がかりにする
  • まとめ
    • 関連記事

深層崩壊は土砂災害警戒情報の対象外

別の記事(こちらです)でまとめたとおり、地下深い岩盤ごと崩れ落ちてくる深層崩壊という現象は土砂災害警戒情報では捉えることができません。予測対象の範囲外だからです。

しかし全てお手上げというわけではありません。技術的に予測が困難なため土砂災害警戒情報のように場所を特定しての警戒の呼びかけはできませんが、定性的に危険性が高まった状態であることは降り始めからの雨量やマスコミ報道を通じてわかる場合があります。

この記事では深層崩壊の危険性の高まりを掴む方法をまとめてみたいと思います。

雨量を目安に考える

過去に発生した深層崩壊と発生時までの雨量を分析した資料を見ると、どのレベルを超えると危険性が出てくるかということが定性的に見えてきます。

降り始めからの雨量で400ミリ

国土交通省国土技術政策総合研究所作成の資料が次のものです(出典はこちら)。横軸は降り始めから深層崩壊が発生した時までの雨量、縦軸は発生した時の時間雨量です。横軸上に記載されている事例は雨が止んだ後にも発生していることを示します。

降り始めから400ミリを超えると場所によって深層崩壊が発生している
(出典はこちら。元の論文はこちら)

深層崩壊が起こり始めた累加雨量の最小値は1961年の長野県大西山で発生した事例や2003年に熊本県集川で発生した事例が参考になります。それらの事例を見るとだいたい累加雨量で400ミリに達しており、逆に累加雨量400ミリ以下では発生した事例がありません。このため累加雨量400ミリというレベルを一つの閾値として考えます。この閾値を超えて雨がまとまっていくのであれば深層崩壊の可能性も出てくると大まかに理解することができます。

降り始めからの雨量で600ミリ以上

別の研究(こちら)では、地域の複数箇所で深層崩壊が起こり得る雨量の目安が述べられています。それによると48時間雨量(2日間の雨量)で600ミリ以上である場合には複数の深層崩壊が同時発生した事例が多いことがわかります。

深層崩壊が複数同時発生した事例をまとめたもので、豪雨によるものは青枠の中の事例です。発生年と場所が赤字で書かれているものは48時間雨量が600mm以上の事例で、多くの場合でそのレベル以上の雨量であったことがわかります。
(「深層崩壊を引き起こした降雨の特徴」より引用(こちら))

雨の降り方による影響もある

なお、雨量が多ければどこでも発生するという訳ではなく、もともと深層崩壊が発生しやすい場所の方がリスクは高いと言えるでしょう。また、降水量だけではなく、雨の降り方が散発的ではなく集中的にまとまった方が地盤が緩みやすいという下記のような指摘もあります(こちらの資料参照)。

松浦純生氏作成資料「山々に潜む深層崩壊の危険性-如何にその兆候を捉え、
将来に備えるか-」から引用(出典はこちら)

累加で400ミリや600ミリを超えても深層崩壊が発生しないことはありますが、あくまで結果論です。大雨が進行する中では「この降り方では深層崩壊は発生しないはず」というように捉えるのではなく、「いつ発生してもおかしくない」という安全側に考えて警戒をしたいものです。

マスコミ報道を手がかりにする

雨量を見て自己判断をしていく方法以外にも、マスコミ報道などから危険性を察知することもできます。

例えば2019年7月2日20時21分に配信された「九州、一日で1カ月分超す大雨の恐れ 土砂災害警戒を」と題した朝日新聞デジタルの記事では、深層崩壊の危険性が気象庁のコメントとして次のように紹介されています。

同庁は「これまでに降った場所は少しの雨でも土砂災害が発生しやすい。(地下深い岩盤ごと崩れる)『深層崩壊』など大規模な災害の可能性もある」と呼びかけている。
大雨の見込みを伝えるニュースの中で深層崩壊などの
キーワードが出てくるのであれば要警戒(朝日新聞デジタルより転載)

深層崩壊というキーワードがマスコミ報道などで現れるようになった場合、そうした事象が起こり得る状況に直面していると判断すると良いでしょう。

まとめ

最初に述べた通り、深層崩壊については、土砂災害警戒情報などでピンポイントに場所をあげて災害の危険性を伝えられることはできません。このため雨量や気象や防災の専門家がマスコミ経由で発信する定性的な情報にも注意しておくことで危機の高まりを把握していきましょう。

関連記事

  • 予測対象の土砂災害と対象外の土砂災害

    情報の対象は一部の土砂災害のみ 土砂災害の危険性が高まる時には土砂災害警戒情報や大雨警報(土砂災害)の危険度分布でその危険性が確認できる仕組みが整っています。 しかし、これらの情報が予測の対象とする土…

  • 深層崩壊の危険箇所をマップで見る

    深層崩壊とは 深層崩壊とは深い場所にある地盤ごと土砂となって流れ出す、比較的規模の大きな崩壊現象のことを指します。奈良県が取りまとめた資料には写真が紹介されており、山がえぐれたように崩壊していることが…

  • 地すべりの前兆現象を把握する

    地すべりとは 地すべりは土壌が比較的ゆっくりと滑り落ちる現象で、大雨だけではなく融雪や地震がきっかけになることもあります。まず地中内部で現象が起き始め、ある段階になると地表への影響が現れてきます(出典…

【執筆】『情報力は、避難力!』著者・渡邉俊幸

気象情報の利用やコミュニケーションに関する課題などありましたらお気軽にお問合せください。

最初のサイドバー

著書『情報力は、避難力!』


記事やオンライン防災セミナーなどでお伝えしてきた情報利用のノウハウについて1冊の本にまとめました。分かりやすく丁寧な説明により、順を追って豪雨や台風時の情報判断力を伸ばしていくことができる本です。

渡邉俊幸について


気象予報士・気象とコミュニケーションデザイン代表。個人や組織が気象情報や防災情報を使えるようになる方法を発信・提言しています。著書は『情報力は、避難力!』。危機管理とBCPの専門メディアでの連載の他、オンライン防災セミナーなどを実施中。オランダ在住。

プロフィール詳細

Tweets by wpcdnote

記事を探す

  • メール
  • Facebook
  • LinkedIn
  • Twitter

Footer

「気象災害の発生はゼロにはできませんが、気象情報やリアルタイムのデータを使えば災害が間近に迫っていることに気づけずそのまま被災することは確実にゼロにできます。」

渡邉俊幸著『情報力は、避難力!』(日本橋出版)|あとがきより

著書のご紹介

情報力は、避難力!

著者について

渡邉俊幸の経歴

読む水害対策

災害リスクを知る
防災対策を組む
情報で判断する

仕事の依頼

原稿を依頼する
講師を依頼する
アドバイザー業務
業務実績

気象情報が分かるようになる本

お問い合わせ

Copyright © 2025 · Maker Pro on Genesis Framework · WordPress · ログイン