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過去の記録は大雨の手がかりになる
過去にその地点でどの程度の雨が降ったことがあるかを知ることは将来の災害に備えることに繋がります。なぜでしょうか?
「過去にこのぐらいの雨となったときには○○という災害が起こった」という記録があると、その雨量と同規模の大雨が降ったときには同じように○○という災害が起こりうると仮定できます。大雨になるとその地域で観測された過去の記録が塗り替えられることがありますが、これは経験を通じて今後何が起こりうるのかを判断できない世界に入るということです。このため、スポーツの世界で新記録が出たというのは歓迎されることですが、防災対策の文脈の中では非常に深刻な事態ということができます。
今回は過去の記録を調べて大雨のキャッチに活かす方法をお伝えします。
過去の記録を調べる方法
気象庁のホームページではアメダス観測地点別に過去トップ10の雨量をとても簡単に調べることができます。記録更新に限らず、こうしたトップ10に食い込んでくるような雨の場合は何らかの災害に結びつくことが多いので、次の方法を利用してぜひ把握してみましょう。
1. 気象庁の「過去の気象データ検索」を開く
気象庁の「過去の気象データ検索」(こちら)を開きます。開くと次のような画面が現れます。
2. 表示させたい地点を選ぶ
左側にある「地点の選択」からまずは「都府県・地方を選択」をクリックします。
日本地図と気象観測を行なっているため南極が現れますので、調べたい地点を地図上で選んでいきます。
以下は東京都を選択した例です。アメダスの観測を行なっている地点が現れますので、最寄りのアメダス地点を選び、クリックしてください。
地点の選択が完了すると元の「過去の気象データ検索」の画面に戻り、選んだ地点が「地点の選択」の下に現れるようになります。この例の場合は「東京都 東京」の選択が完了しています。
3. 「データの種類」から「地点ごとの観測史上1~10位の値」を選ぶ
地点選択が完了したら「過去の気象データ検索」の画面右側にある「データの種類」から「地点ごとの観測史上1~10位の値」をクリックしてください。
4. 日降水量と日最大1時間降水量の記録を見る
「観測史上1~10位の値(年間を通じての値)」が表示されますので、日降水量と日最大1時間降水量の記録を見てみましょう。1位から10位までの値が発生年月日とともに書かれています。
歴代10位までの数値の読み方
調べた数字をより理解しやすくするために次の問いを持ちながら見てみましょう。
1.これまでの第1位の数字は?
これまでの観測値の中で第1位の値は「極値」と呼ばれます。日降水量、日最大1時間降水量ともに極値は押さえておき、極値を更新するような大雨に備えます。第2位から第3位もだいたい何ミリ程度なのか把握しておくと良いでしょう。
2. これまでの第10位の数字は?
10位の数字を把握しておくと、トップ10に食い込んできそうな雨量であることに早めに気づくことができます。
3. 過去に災害が発生した年月日は含まれていないか?
1位から10位までの日降水量と日最大1時間降水量を横に見ていってください。年月日に心当たりのあるものはありませんか?過去に災害が起こった日の雨の記録が含まれることがあります。そうした記録を更新するような雨には要警戒です。
4. 日最大1時間降水量の最大値のレベル
日最大1時間降水量は以下の何ミリ程度に当てはまりますか?
(1)120ミリ以上 (2)100-120ミリ (3)80-100ミリ (4)60-80ミリ
雨のもともと少ない場所では(4)の60-80ミリ程度の雨でも極値に当てはまる場合があります。例として香川県のアメダス高松の1時間降水量の極値は68.5ミリです。反面、雨の多い三重県尾鷲のアメダスを見ると極値のレベルは(1)の120ミリ以上で、1時間降水量の極値は139.0になります(ともに2019年6月23日現在)。「1時間100ミリの雨が降るから危険」覚えておくのではなく、その土地特有の大雨の量を覚えておきましょう。
まとめ
過去10位までの数値は大雨の予報に接したときや実況で雨を確認する際に危険度を自ら把握する目安として使いましょう。なお、統計期間が短いもの(例えば2000年から現在など)の場合は記録が頻繁に更新される可能性もあり、30年以上の記録がある地点の記録更新とは若干意味が異なってきますのでその点留意してください。