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災害級の雨を把握する
災害級の雨を知っておくことで数々のメリットが生まれることを私たちは見てきました(こちらの記事参照)。それではどうしたら地域にとって災害級の雨を把握できるでしょうか?今回はその概要をまとめてみたいと思います。実際の調べ方は各ポイントでリンクされた記事をご覧ください(準備が整ったものから掲載しています)。様々な方法を通じて把握していただきたいのはこれらの雨量です。
- 1時間雨量の最大値
- 日雨量(24時間の雨量)
- 積算雨量(雨の降り始めから災害が起こった時までなどのトータルの雨量)
- 流域雨量(ハザードマップが公開されているような河川がある場合)
それぞれを調べることができたらノートなどにメモしておきましょう。
災害級の雨を調べるための方法
方法1:過去に発生した災害時の雨量を把握しておく
その地域で過去に発生した水害や土砂災害などの記録から当時の雨量を抜き出しておきます。過去に災害が起こったレベルと同じような雨量に近づくにつれて危険が迫っていると判断することができます。
方法2:排水施設などの処理能力を把握しておく
内水氾濫は降った雨が下水やポンプで排水することができずに発生します。そうした排水システムにはこの雨量までは対処しようという前提があるのでそれを把握しておきます。これを知っておくことで、例えば1時間に50ミリの雨に対応できるのかなどが分かります。処理能力を越えた雨になればなる道路冠水や床下・床上浸水発生の危険性が増していきます。
方法3:災害の想定に使われた雨量を把握しておく
その地域が将来被りうる水害被害の想定を表したのが洪水ハザードマップです。そうした想定にはシミレーションの前提用に想定の雨量が使われています。ある規模の雨量が地域や流域などに降ったシナリオの結果が浸水深として表されている訳です。そのシナリオに使われた雨量をそのまま災害級の雨量の目安として使っていきます(関連記事:ハザードマップの想定雨量を確認しておくメリット)。
方法4:統計上、その地域でまれにしか発生しない記録的な雨量を把握しておく
経験的に言って、いつもと同じような雨の降り方の場合は災害が発生することは稀です。いつもと違う量の雨、これまで経験したことのない量の雨が悪さをします。アメダスの雨量データを見ると、その地域で統計上とても稀な量の雨量が分かります。そうした特異な雨量も災害級の雨として理解しておきます(関連記事:観測史上10位までの雨量を手掛かりに大雨の量を知る)。
方法5:気象台が大雨の際に警戒を呼びかける情報の基準を把握しておく
気象台は地域の災害をあらかじめ分析した上で、これ以上雨量がまとまると災害が起こり始めるたり、大きな災害に結びついたりするという基準を定めています。その基準を超過する見込みが予測の中で出てくると警戒を呼びかける情報が出されます。気象台が使っている基準の中から使いやすいものを災害級の大雨を把握するヒントとして使います。
まとめ
ここまで見ていただいたとおり、いずれの場合でも皆さんには実際に手を動かして調べてもらう工程が発生しています。こうした下調べは一見手間に見えるかもしれませんが、時間をかけた分だけ地域にとって危険な量の雨について理解が進みます。様々な視点から災害級の雨量探しを繰り返すことで、「災害時に何もしないでいるのは危険な雨量」を腹に落としていくことができます。ぜひ皆さんも手を動かして調べてみてくだい。