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警戒レベルの表をよく見ると気づくこと
2019年5月29日から防災気象情報で警戒レベルが使われるようになりました。気象庁の気象警報・注意報のページ(こちら)では、下のように大雨警報や洪水警報がレベル3相当、土砂災害警戒情報がレベル4相当といった情報がつけられています。
次の図は「5段階の警戒レベルと防災気象情報」を解説した図で、気象庁のホームページで公開されているものです(こちら)。この図をよく見ると、一番左側の列のトップには「警戒レベル」と書かれ、一番右側の列のトップには「相当する警戒レベル」と書かれています。
なぜ両方とも警戒レベルではないのでしょうか?
レベル4とレベル4相当の違い
結論を言うと、警戒レベルと警戒レベル相当の情報は別物です。
警戒レベルに基づいた情報を発表するのは災害対策基本法で住民に避難等を呼びかける権限が付与された市町村です。先ほどの図で言えば、左半分は自治体の視点で組まれています。
図の右半分は気象台や河川管理者などの視点です。それらの機関は避難に関する情報を出す訳ではないため、直接警戒レベルを発表しません。市町村や住民が対応を判断できるように○○レベルに相当するものと言う扱いで情報が出されます。これが、気象情報や水位に関する予測情報が「警戒レベル相当」と表記される理由です。
詳しく説明している市町村の例
市町村の中には警戒レベルと警戒レベル相当の違いを説明しているところもあります。例えば奈良市の場合、市のホームページに次のような情報が書かれています。
「指定河川洪水予報、河川の水位情報、大雨警報(大雨特別警報)、土砂災害警戒情報、土砂災害危険度分布等が警戒レベル相当情報として発表されますが、避難勧告の発令については、土砂災害、洪水等の気象情報を活用しながら、土砂災害警戒区域及び浸水想定区域に焦点を当て発令してまいりますので、警戒レベル3、4相当情報の発表によって、必ずしも警戒レベル3、4情報を発表するものではありませんので、ご注意ください」(奈良市のホームページ(こちら)より転載)
ひとまず、警戒レベルと警戒レベル相当の情報は異なるものだと覚えておいてください。
市町村の対応
避難勧告などを警戒レベル別に整理して公表していこうという考え方は、国が市町村に対して示したガイドライン(「避難勧告等に関するガイドライン」(こちら))にまとまっています。
ガイドラインは自治体に対して「こうしたらいいですよ」というモデルを示したものです。国が法律などを変えて強制的にレベル化を制度化したものではないため、自治体からの避難情報が全国的にレベルで示されるようになったという訳ではありません。
国のレベル化の議論に沿って、自分たちの市町村でもレベル別に避難情報を出していこうと決めた自治体でレベルを付して避難勧告などが出るようになります。下の東京都港区のように、レベル化を取り入れた自治体がわざわざインターネット等で告知を行うのはそうした背景があります。
皆さんが関係する自治体でも、レベル別に情報が発表されるようになったのか調べてみてください。