水害対策の訓練というと避難訓練を計画される方も多いのではないでしょうか?普通に避難訓練をするだけでも学びは深いものですが、より実践的な内容にするためのポイントを次のとおりまとめました。訓練の企画やシナリオをご検討中の方は是非参考にしてみてください。
この記事の目次
浸水と影響・被害の想定
災害として何が起こりうるか、その結果どうなる可能性があるかについては訓練の前提として詳しく把握しておきたいポイントです。水害に見舞われたある高齢者福祉施設では土砂災害を想定した避難訓練は実施していたものの、水害対策の訓練は行えていなかったそうです。災害によって対応すべき行動やタイミングが異なりますので、次の質問を参考にリスクや影響について調べてみてください。
・どの程度の深さで浸水する可能性があるか?
・その浸水が発生するとその場所や周辺はどうなるか?
・決壊した場合に建物や地域の木造住宅が流されるなどの被害が見込まれないか?
・避難先へのルートに内水氾濫や外水氾濫、土砂災害、高潮などのリスクはないか?
・電気やガス、水道などのライフラインは避難後も利用可能か?
・避難が長期化した場合に問題は発生しないか?(トイレや食べ物、水など)
避難の判断と情報
避難行動は日常とは非連続な行動です。通常モードから非常モードに切り替える際には危険が迫っているということが認識できなればなりません。そのために何の情報を利用しますか?避難の意思決定に役立つ情報も次のポイントを参考として確認しておきましょう。
・何の情報を用いて心の準備を行うか?
・何の情報を用いて警戒モードに移行するか?
・何の情報を用いて避難することを判断するか?十分な情報が入手できないときは何を根拠に判断を行うか?
・誰が情報を集めて避難の決断を行うか?
避難と人・モノ・道具・時間
避難を決めてもマンパワーや車両などが揃わなければ実現困難であったり、時間を必要以上に要してしまったりする場合があります。そうした段取り面で円滑な避難に必要なものは何か考えるとともに、どの程度の時間があれば無事に避難が完了するかも具体的に把握するようにしましょう。災害の中には展開が非常に早いものもあるため、十分な時間(リードタイム)が取れない場合の代替案も検討しておくのがおすすめです。
・避難に必要なものは何か?(人やモノ、道具など)
・避難を支援するスタッフや車両などが十分揃わない場合にはどう対応するか?
・避難に必要なリードタイムは理想的には何分/何時間か?
・避難に要する理想的な時間の半分以下の時間で対応しなければならないような緊急時には何をどうするか?
不利な条件が発生した場合
避難がスムーズに実施できれば良いのですが、大雨や風のピーク時間帯に近づけば近づくほど様々な制約が発生してきます。次善の策として何をすべきかあらかじめ検討しておくと良いでしょう。
・災害が進展する過程で避難に不利な状況は発生しないか?(停電でエレベーターが利用不能になる、車での移動が困難になるなど)
・不利な条件が発生しそう/発生した場合にはどう対応するか?
避難以外の要素
水害が見込まれる際に避難以外に対応しなければならないことはありませんか?過去の災害では重要書類や重要機器を2階にあげたり、車両を移動させたりした例がみられます。車両の移動を優先して避難が遅れた事例もあるので、マンパワーや時間をどの程度配分するかは次のような視点から慎重に検討しておく必要があります。
・避難と同時に取り組みたいと思うことは何か?
・それは誰が・いつ・何を契機にどう対応するか?
・切り上げるタイミングはどういう時か?
まとめ
「避難訓練」を中心にしただけでも考えなければならないポイントが数多くあることをお伝えしてきました。訓練で設定するハードルを高くすれば、その分、実践的な対応力が鍛えられます。一度に全てを満たすような訓練を実施することが難しい場合でも、特に注力するポイントやテーマを絞って訓練することを繰り返していくと良いでしょう。
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