出版プロジェクト進捗報告#01
こんにちは。気象とコミュニケーションデザインの渡邉俊幸です。
suigaitaisaku.comやnote上の記事、リスク対策.comなどへの寄稿記事で気象情報を利用した水害対策について書きためてきました。オンラインのメディアだとどうしても情報が断片的になってしまうので、このあたりで一冊の本というまとまった形でノウハウを集約していきたいと考えています。
ということで、出版プロジェクトを開始しました。現在は企画書や構成案を作成中で、準備が出来次第、出版社さん探しからスタートです。
構成については下のようなアイデアを練っています。タイトル案は「気象情報はどうしたら防災に役立つか」。これは、防災分野で情報が必ずしも生かされていないこと、また、その問題が置き去りにされていることから思い浮かんだタイトルです。具体的な方法を知ることで情報は防災の役に立つというメッセージも込めています。
実は書籍化にチャレンジするのは2回目です。
前回は出版社さんの会議にはかけてもらえたのですが、コロナやら社内事情やらで残念ながら見送りに・・・。自分の中では当時の企画は若干読者の対象を絞りすぎたという反省点もあります。
そこで今回の企画はもっと間口を広げ、多くの方に手に取ってもらえる物を目指しています。「テレビやインターネットで大雨や台風に関する情報を見ても、実際のところよくわからない」ということが解消されるような本を作りたいと思います。
出版プロジェクトについては、進捗をブログで報告していきます。
応援のほど、ぜひよろしくお願いいたします!
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■タイトル案
気象情報はどうしたら防災に役立つか?
−気象情報でインパクトを見極めるための気象情報の使い方−
■構成案
はじめに
・世界で広がる「インパクト予報」を手がかりに
・日本の災害情報の強みと弱み
・情報から影響を読み取っていく必要性
・情報とアクション
・本書の構成
第1部. 気象情報の新しい見方・使い方
1. 気象情報から影響を見極めよう
・相次ぐ気象災害と複雑化する気象情報
・情報を「見る」型のアプローチの限界
・今求められる「見極める」型のアプローチ
・影響を見極めるために取るべきステップ
2. 「多すぎる雨」の理解
・多すぎる雨が様々な災害を引き起こす
・場所によって異なる多すぎる雨
・多すぎる雨を知っておくメリッ
・多すぎる雨の調べ方
過去に起こった災害時の雨量を調べよう
ハザードマップは想定雨量も確認を
過去最大規模の降雨に注意
・多すぎる雨のまとめ方
3. 災害リスクの徹底チェック
・内水氾濫のリスクの調べ方
2つの内水氾濫
浸水実績図を見てみよう
・河川の洪水リスクの調べ方
ハザードマップはここを見よう
計画規模と想定最大規模の違い
・土砂災害のリスクの調べ方
イエローゾーンとレッドゾーンの違い
・高潮のリスクの調べ方
・風による被害
・想定できているリスク・想定外のリスク
・どんな影響が生じるかを考える必要性
・浸水が発生すると自宅やマンションに何が起こりうるか
・浸水による避難への影響
4. 気象情報を防災対策に利用する時の注意点
・気象情報で分かること・分からないこと
・変わりやすい中長期の情報、リードタイムが限られる短期の情報
・現在までの変化も重要な情報の一つ
・予想の急変を見逃さないこと
・対応の優先順位を組んでおくこと
・情報が確実になるまで待たないこと
・必要な時には50%の情報で100%の判断をすること
5. 防災行動と気象情報のリンク
・災害の影響と様々な避難のタイプ
・シングルシナリオの防災行動に潜む欠点
・余裕のある対応としてのA案、非常中の非常プランとしてのB案
・自分が必要とするリードタイム
・リードタイムを考える際の注意点
・自治体からの避難の呼びかけに関する情報の扱い方
・自治体が必ず伝えること・滅多に伝えていないこと
第2部. 気象情報から読み取れること・読み取るべきこと
1. 災害級の事象を見逃さないための3つのコツ
・この先のきな臭さを示す情報を見逃すな
気象庁の報道発表
民間気象会社の情報
気象情報という名前の「気象情報」
・注意報や警報を上手に使え
注意報や警報の意味
警報レベルの可能性を知らせる情報
危険度分布
・過去からの一連の流れの中で考えよ
多すぎる雨が災害を引き起こす
雨雲はどこからきてどこに向かっているか確認しよう
強く降る雨が継続するサインを見逃すな
これまでに降った雨量・今降っている雨量も重要な判断材料
積算雨量の調べ方
今の雨量を知る際に使いたい10分間雨量
これからの雨量の把握方法
2. 内水氾濫の手かがり
・大雨注意報や大雨警報
・発雷確率や雷注意報、大気の状態が不安定というキーワード
・氾濫型の内水氾濫の危険性を伝える情報
・湛水型の内水氾濫の危険性を伝える情報
3. 中小河川の外水氾濫の手がかり
・洪水注意報や洪水警報
・洪水警報の危険度分布
・リードタイムの確保が難しい例
・水位到達情報が発表される河川(水位周知河川)
4. 大河川の外水氾濫の手がかり
・指定河川洪水予報
・指定河川洪水予報が伝えること
・氾濫発生情報と氾濫した可能性があることを伝える情報
・受け持ち区間の事前確認が必要
・詳しく確認したい水位の見込みの図と流域雨量
・指定河川洪水予報を使う時の注意点
・水位の上がり方はオンラインで確認を
5. 土砂災害の手がかり
・土砂災害で使われる基準値
・土砂災害警戒情報と特別警報
・大雨警報(土砂災害)の危険度分布
・土砂災害の前兆現象
6. 高潮災害の手がかり
・高潮注意報や警報、特別警報
・潮位や波の高さに関する予測の把握方法
・実際の潮位を把握する方法
・高潮氾濫危険情報と高潮氾濫発生情報
・台風の位置・遠浅の海の組み合わせに注意
7. 強風や暴風による災害の手がかり
・強風注意報・暴風警報
・平均風速と最大瞬間風速の違い
・台風情報の見方
・予報円が大きいということは○○を示す
・暴風域に入る確率の使い方
・警戒すべき台風とは
・熱帯低気圧、台風、温帯低気圧の違い
終わりに
・気象情報だけに頼らない防災対策の必要性
・オランダの水害対策に学ぶ減災に向けた3層のアプローチ
※出版プロジェクトに関するご意見やインプット、筆者へのメッセージなどは次のフォームからお願いいたします。