災害が迫ったときに避難をする場合、ご自身ではどの程度、所要時間がかかると考えていますか?
避難に必要なリードタイム(猶予時間)について検討するときには、避難先に行くという「移動時間」だけを考えるのはやめておきましょう。
実際には図のように、「避難しようか考える時間」や「避難の準備をするための時間」もかかります。そうした「見えにくい時間」と避難先への移動時間を全て合わせたのが皆さんが必要とするリードタイムです。移動時間だけを考えてリードタイムとしておくと、こうした見えにくい時間に貴重な時間が食われてしまい、いざという時に時間が足りなくなる恐れすらあります。
避難に要する時間は、判断と準備も含みます。「非常用持ち出し袋をあらかじめセットしておきましょう」とよく推奨されるのは、必要とする準備の時間を短縮する意味でもあります。自治体からの避難準備・高齢者等避難開始といった情報や、早い段階でシグナルとして現れる気象情報なども利用し前倒しで避難の準備を進めておくのも有効です。そうしておくことで、いざ逃げなければならない際の時間短縮に繋がるでしょう。
日本の災害は、数十分から数時間単位で状況が急速に悪化していくことがあります。情報を受け取って熟考に熟考を重ねて避難を決断するのではなく、あらかじめ避難をする目安を決めておき、該当する情報が確認できたらすぐに行動するぐらいの瞬発力が時に求められます。
水害対策を練る際には、「避難に必要なリードタイムを全体としてどう減らしていくか」という視点で考えてみてください。