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外水氾濫を上回る浸水棟数
台風や豪雨による水害というと、河川が決壊したことによる被害をイメージされるかもしれません。しかし実際の災害を見ると、内水氾濫を原因とした浸水の方が割合が高いことがわかります。令和元年台風19号のケースや平成30年7月豪雨のケースを見ていきましょう。
令和元年台風19号の場合
例えば令和元年台風19号(令和元年東日本台風)の際ですが、国土交通省のとりまとめによると内水氾濫による浸水被害は15都県140区市町村で発生し、約3万戸が浸水したとのことです。この台風では全国で約4.7万戸が浸水したとのことで、内水氾濫はそのうち約64%に達しており、その割合は決して低くはありません。
平成30年7月豪雨の場合
平成30年7月豪雨では、浸水被害は全国で約2.8万戸であったのに対し、内水氾濫による被害が約1.5万戸と5割を超えています。
過去10年間の統計からわかること
平成20年から平成29年までの10年間を対象とした統計を見ると、内水氾濫による浸水棟数は浸水棟数全体の68%(下図の右側の円グラフ)です。残りの32%は川が決壊するなどによって発生した外水氾濫によるものですが、被害額に関する統計(下図の左側のグラフ)で見ると割合は逆転しています。
内水氾濫と外水氾濫の被害額
被害額という視点で見た場合、内水氾濫による被害額の割合は41%、外水氾濫による被害額の割合は59%とあります。水害の被害額は深さに比例して増えていきます(関連記事はこちら)。一般に外水氾濫の方が内水氾濫よりも浸水の深さが深くなったり、家屋が流されるなどの被害が発生したりするので、そのことが被害額と浸水棟数の割合が違う背景にあるのではないかと考えられます。
まとめ:内水氾濫にもご注意を!
被害額で見れば内水氾濫は外水氾濫よりインパクトは小さいものの、少なくない家屋が過去の災害時には内水氾濫に巻き込まれていることが分かりました。大雨が降る時には内水氾濫と外水氾濫の両方を見据えながら情報収集や避難などの判断をしていくことが求められます。