水害対応訓練を企画する際にはハザードマップを利用することが一般的かもしれませんが、被災経験がある地域の場合は浸水実績を使ってみるのも良いでしょう。次のような図面を前に、「次にあの時のようなことが起こったら、どうすればよいか」を具体的に訓練していくのです。
被災実績を見るメリットは、ハザードマップがまだ準備されていないことが多い中小河川の氾濫や内水氾濫なども含めて水に浸かった場所(=水害の危険性がある場所)の確認ができる点です。
下の図は令和元年台風19号時の浸水の実績(図左側)と該当箇所のハザードマップ(図右側)を並べたものですが、ハザードマップの中では中小河川の浸水深が計算の対象外であったため空白とされていました。浸水実績を見るとどこに水害のリスクが隠れていたかがあぶり出されます。
国土地理院は下図のとおり、近年の大きな水害に関して空中写真や浸水推定図を無料公開しています。
浸水実績に関する情報を利用して訓練する際には、過去の災害がその地域で最大規模の災害であるとは限らないという点には留意しておきましょう。このため、その地域で最大規模の雨が降ったという前提に基づいて作成されたハザードマップ(想定最大規模のもの)も利用しながら水害対策を考えていくと良いでしょう。