水害対応のタイムラインは、誰が・いつ・何をするかについて、河川水位の上昇や台風の接近などの条件を元に段階ごとに整理したものです。

タイムラインは複数の機関や複数の部署の動きを統合して災害対応に当たるための計画であり、そうしたものが一切なかった時と比べれば大きな前進と言えるでしょう。しかし、実際の災害対応の場面でタイムラインが機能するかどうかは別問題です。
一つの問題点は「何をすべきか」に関する部分に隠れています。
タイムラインは、他の機関や部署との間での調整や責任所在の確認が実質的な内容であるため、検討される事項は次の例のように大項目から中項目的なレベルとなります。

しかし、いざ何かを実施する際には必ず各論が問題になります。
その各論での調整や詰めが甘かったり、未検討であったりするとどうなるでしょうか?答えは明らかで、大項目で定めたことが達成できないという結果に終わるでしょう。
タイムラインを作成する場合には全体の調整だけではなく、細部も同じように重要なのです。
タイムラインをすでに作成している場合には、少なくとも次のような各論が満たされているかチェックしてみてください。
- タイムラインに沿って、機関や部署の個々のスタッフのレベルで、いつ・誰が・何を使って・どう行動するかまで計画化されている
- 車両を利用する場合には車両管理の面も検討されている
- 情報を発信するアクションがある場合には、何の手段で誰に何を伝えるかまで決めており、連絡先のリストも作成されている。
- フォームを用いて連絡をするのであれば定型のフォームがすでに作成されている。
- 各機関や各部署の参集基準や非常対応への移行時期などもタイムラインに対応する形で明確化されている
- 各論の実施を支える現場責任者の役割や権限、責任が明確化されている
- 現場責任者が実施状況を報告するラインが明確化され、中項目や大項目の進捗が確認できる体制ができている など
繰り返しになりますが、タイムラインで検討するような内容は大項目から中項目程度のレベルでしかありません。各機関や各部署ごとに実際のアクションに必要な各論を作成しておく必要があります。タイムラインに沿って訓練を行う場合には、全体と各論の両輪がともに回るかという点を確認していくと良いでしょう。