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明暗を分けた時

この記事の目次

  • 過去の災害事例から学ぶ水害対策
  • 山間部の中小河川で発生した水害
  • 被害発生の時間
  • 当時の水位の様子
  • 川との位置関係
  • 明暗を分けた時間帯
  • この事例から学ぶポイント
    • 関連記事

過去の災害事例から学ぶ水害対策

水害対応訓練を企画したり、水害対策を検討したりする時には過去の被災事例の分析が欠かせません。今回の記事で取り上げるのは老人福祉施設が水没して多数の犠牲者を出した平成28年台風10号の例です。この事例の中で何が問題だったのか、どの時点が明暗を分けた瞬間なのか、そして学ぶべきことは何かについてまとめていきます。

山間部の中小河川で発生した水害

平成28年の台風第10号では岩手県の高齢者施設が水没し、逃げ遅れた入所者9人全員が犠牲になりました。その時、気象台や河川管理者、地元岩泉町、そして被害が発生した高齢者施設は何の情報を得て、どう対応していたのでしょうか。国がまとめた資料に当時の様子を再現したものが次の図です。

国土交通省の資料より(出典はこちら)

被害発生の時間

この事例で小本川沿い1階建ての高齢者施設に水が入ってきたのは18:00ごろです。そして施設全体が水没したのは19:40ごろ。水位が急上昇した時、「管理者が利用者をベッドの上等に誘導したものの、その後、大量の水が一気に流れ込んできた」といいます。

水没した施設(出典はこちら)

当時の水位の様子

水害が発生した日の水位の移り変わりは次のようになります。「18時ごろから急に水位が上がってきた」というのはこの図からも見て取れ、20時ごろのピークにかけてあっという間に水かさが上がっていたことが分かります。

小本川の当時の水位(出典はこちら)

川との位置関係

氾濫した河川の名前は小本川、犠牲者が出た施設は楽ん楽んです。下図は氾濫が発生して水が引いた後の様子だと思いますが、山に囲まれた河川沿い一帯が川になったと推察されます。

川沿いにあった施設(出典はこちら)

楽ん楽んの隣のふれんどりー岩泉も最初の図表の中に登場しています(18:00ごろの欄参照)。ここは平屋建てではないので水が建物内に侵入した時点からの対応であっても、入居者を守ることができました。楽ん楽んとふれんどりー岩泉は目と鼻の先なのですが、危険だと認識できた時にはそこにすら避難できない状況下であったのでしょう。

明暗を分けた時間帯

この日、運命の分かれ道になったのは、16-17時の間ではなかったかと思います。「もし〜であったならば」と思う部分はいくつも指摘することができます。

例えば次の対応です。太線部分に注目してください。

「16:40ごろ 岩泉町から社会福祉施設に対して状況確認の依頼がきた。それを受け、社会福祉施設の理事自身で撮影した川のビデオ映像(16:55撮影時点では地盤面から20cmほど低い水位)を役場に見せるため、理事が町役場に向かい、小本川の状況を報告。その時点では避難を開始する必要はないと理事は判断。5年前の台風の浸水被害実績から、2時間ほど余裕があると判断していた」

この時の理事の判断で使われていた情報を見ると、その時点の水位と過去の経験です。現在の水位(地盤面から20cmほど低い水位)が判断に使われ、今後水位がどう増えていくのかという予測が使われていないことは残念な点です。また、5年前の台風の経験と比較する形でよかったのかという問題もあります。台風10号は観測史上初めて岩手県に上陸したものであり、過去数年程度の経験が通用しないものであったからです。

17:30ごろに理事が役場から戻りますが、その時の判断がこちらです。

駐車場が浸水し始めていたため、車を近くの高台に上げた後に楽ん楽んの入所者をふれんどりー岩泉に避難させようと考えた。(中略)車を順次高台へと移動させていったが、4往復目には氾濫流にハンドルをとられ、理事は社会福祉施設に戻れなくなった。その後、社会福祉施設まで歩いて移動しようとしたが、氾濫流に飲み込まれた。

おそらく2時間程度余裕があるという判断が影響をしたのだと思いますが、先に車の対応をさせていたために結果的に入居者が避難するタイミングを逸してしまったと言えます。

この事例から学ぶポイント

この事例は施設外に避難できたであろう最後のタイミングが残念ながら活かされなかった事例でした。

町役場も混乱して避難に関して十分な情報が出せなかったこと、気象台や河川管理者から役場に連絡をいれただけでは情報は共有されないこと、理事が役場に行っても思い込みを変更するのに必要な情報の提供を受けた様子が見受けられないこと、楽ん楽んに残ったスタッフが水が押し寄せるまで手が打てなかったことなども課題ですが、河川の水位は現状だけを見ないということも忘れてはならないポイントの一つだと思います。

外水氾濫の可能性を把握する際には、河川の水がどのように増えてきたか、今どの程度か、この先どうなるかという一連の流れを理解した上での判断が求められます。ある瞬間だけしか水位の様子を見ないのは、「まだ大丈夫かもしれない」と思い込む恐れがあり逆に危険です。

水位計があるところはそのデータを使って時間あたりの増加率を見て判断に生かすべきです。また、水位計があるところもないところも洪水警報の危険度分布を使って川が危険な状態となっていくのかを把握するのが賢明です。

さらに、どの程度の水位になると何が起こるかということも認識しておきたい点です。「5年前に浸水した」経験があると理事長の判断から読み取れますが、その際の水位はどの程度だったのか理解していれば、この台風に対する対応も変わったかもしれません。水位が上昇することによって目先何が起こりうるかという感度を高くしておくことは危機管理の際の判断を助けます。

この事例を通じてその他に何を学び取るべきか、皆さんもぜひ考えてみてください。

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渡邉俊幸

渡邉俊幸

気象情報の使い方・使われ方に関して国内外で豊富な経験を持つ気象予報士。気象とコミュニケーションデザイン代表。

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