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危険度分布の濃い紫色の意味
気象庁の危険度分布では、土砂災害、浸水害(内水氾濫)、洪水(外水氾濫)の3種類の情報が発表されています。土砂災害や洪水の危険度分布はそれぞれ以下のように大雨の警戒レベル相当の情報として位置付けられます(赤枠部分)。

3種類の危険度分布に共通することは、濃い紫色が出た時には過去に大きな災害が起こったレベルをすでに超えており、災害が発生しているかもしれないと示す点です。言葉だけだと分かりにくいため、2019年に発生した大きな災害の際にどう危険度分布が出ていたのかを見ていきましょう。
特別警報が発表される段階での危険度分布
2019/7/20 長崎県の例
大雨特別警報が発表された時点での危険度分布をいくつか例を見ていくと、何らかの危険度分布で濃い紫色が一帯に広がっていることが分かります。最初の例は7月20日に長崎県に大雨特別警報が発表された時のものです。見づらいですが五島列島で土砂災害の危険度が高い状態になっていました。

2019/8/28 佐賀県、福岡県、長崎県の例
次の例は8月28日に佐賀県、福岡県、長崎県に大雨特別警報が出た時の様子です。土砂災害だけではなく、浸水害、洪水と3つの危険度が非常に高まっていたと見ることができます。

2019/10/12 台風19号の例
続いてこちらは台風19号(のちに東日本台風と命名されるもの)の影響を受けて大雨特別警報が出された時の例です。静岡県、神奈川県、東京都、埼玉県、群馬県、山梨県、長野県が発表対象だったのですが、その当時の危険度分布を見ると、特に土砂災害の危険性と河川洪水の危険性が高かったと言えます。

台風19号は北上するにつれて影響の範囲が関東北部から東北地方に移りました。茨城県、栃木県、新潟県、福島県、宮城県に大雨特別警報が発表された時の危険度分布の様子が次のものです。台風の進路の前面にあたった関東北部・東北地方の太平洋側を中心に土砂災害や洪水の危険度分布が高い状態です。この時間、関東南部は徐々に台風が離れていきますが、これまでに降った雨の影響も残っているので土砂災害や洪水の危険度が高い場所が多く見られます。

さらに時間が経ち、東北北部の危険度が高まった際の危険度分布が次の図です。岩手県に大雨特別警報が出た時には同県沿岸部や宮城県を中心に土砂災害や浸水害、洪水の危険性が高く表現されています。台風が通過した地域でも地中の水分量が高いため、土砂災害の危険度分布ではまだ濃い紫色が表示されているところがあります。洪水警報の危険度分布を見ると黒い太線がところどころにありますが、これは氾濫が公式に確認された大河川を指しています。

まとめ
名だたる災害が発生しそうな時には危険度分布もそれ相当の危険性を表しているものです。大雨特別警報の発表には予報を出す側の内部調整というワンクションが入りますが、危険度分布はほぼリアルタイムで表示されるため時間差はありません。今回取り上げた危険度分布の様子を覚えておき、こうした形が見られる時は大きな災害が起こりうる事態だと自分で認識できるようにしておきましょう。