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半日前の予報は2030年までにが目標
九州などに大雨をもたらす梅雨末期の線状降水帯。現在の予報では事前にこれを特定することは難しいとされ、予報技術の向上や改善が検討されています。そうした文脈の中で気象庁は、2030年までには線状降水帯の発生を半日前までに伝えられるようにしていくとのことです(2020.11.5 毎日新聞の報道より)。
予報の充実に関わらず考えておきたいこと
今の段階では予測できない情報が充実する方向性が示されたことは歓迎です。しかし、水害対策の中では次の3つの点を忘れてはなりません。
1つ目は、半日前といったレベルでの情報提供はまだ10年弱待つ必要があるということです。その間も豪雨災害は待ってくれないため、半日前というリードタイムがない状態でも対応できるようにしておくことが急務です。特に九州や山口、山陰地方、北陸地方、東北地方の日本海側など、梅雨前線に伴った線状降水帯で度々大きな災害が発生している地域は要注意です。
2つ目は、2030年までに予報が発表されるようになったとしても、半日前程度というリードタイムでしかないことです。「半日もあればよい」と見るのか、「半日では足りない」と見るのかは分かれますが、何れにせよ比較的短時間のうちにいざという時の対策を取っていかなければならない状態は2030年以降も続くものと見られます。そうした点も踏まえて避難行動などの対策を練っていく必要があると言えるでしょう。
3つ目は、たとえ予測が充実したとしても線状降水帯による大雨災害自体は減らないという事実です。事前の避難行動などである程度被害を減らせる部分が増えるかもしれませんが、ソフト対策だけではどうしても限界があります。家のあり方、建物のあり方、都市のあり方、流域のあり方という面と組み合わせて対策を取っていくことが望まれます。日本のハウスメーカーが開発した水に浮く家が話題ですが、毎年のように豪雨災害に見舞われる地域ではそうした建物自体の対策も同時並行で進めておくべき時であると考えます。