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中小河川のハザードマップの不存在
浸水想定区域図(いわゆるハザードマップ)が整備されている大河川と違い、中小河川ではこれまでどこがどの程度浸水するかがわかりませんでした。
強いて言えば、後述のとおり地形から浸水する可能性がある場所を判断していく他なかったのですが、2020年11月2日の共同通信の報道によると、政府が「法律に基づく洪水時の浸水想定区域の設定対象を大きな川だけでなく、中小河川に拡大する方針を固めた」ということです。
同報道によれば、「来年の通常国会へ水防法などの改正案提出を目指す」というスケジュール感です。
仮に法改正が予定通り2021年になされても、今しばらくは中小河川の浸水想定区域に関する情報はない状態は続くことでしょう。大河川のハザードマップ公開の時にも自治体や河川によってタイムラグがありました。
実際に中小河川を対象とした浸水想定が計算され、自治体がハザードマップとして印刷物を作成して配布が完了するまでには数年単位、あるいはそれ以上の時間を要する可能性があると見ています。
中小河川が増水すると危険な場所
しかし災害はハザードマップが公開されるのを待ってくれません。
中小河川の洪水で特に危険となる場所は、山地を流れる中小河川沿いであると言われています。増水した際の水面と同じような高さで山地や台地の間に広がっている谷底平野は要注意です(下図参照。出典は気象庁*)。
そうした場所では雨が非常にまとまった時に「谷底平野全体が川のようになる」わけで、増水した川の水の力によって家が流されたり川岸が崩れたりする可能性があります。
水深も深くなる可能性が示されていますので、該当するような場所に住宅などがある場合はハザードマップで浸水の深さが示されなくてもリスクありと心得ておきましょう。