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線状降水帯に関する事前予測と直前の予測
梅雨の時期や台風などの際に線状降水帯により各地で大雨になることがあります。線状降水帯はラインもしくは帯状に積乱雲が連なったもので、同じような場所で強く降る雨が継続してしまう場合があり、土砂災害や内水氾濫、河川の洪水などの引きがねにもなります。
この線状降水帯ですが、事前に大雨となる場所をピンポイントに予測したり、どの程度の雨量となるかを事前に特定したりするのは難しいとされています。ただし、この場合の事前という言葉には少し幅があります。
一方、事前ではなく目先1時間から数時間といった直前の予測になってくると、線状降水帯が影響する場所や線状降水帯によってもたらされる雨量などの目星がついてきます。
これはどの気象情報にも当てはまりますが、事前の予測は不確実性が高く、直前になると見通しがより明らかになるという特徴を持っているのが線状降水帯なのです。
この先数時間程度の線状降水帯に関する予測
直前になると影響する場所や雨量などが詳しく予測できる訳ですが、気象庁から線状降水帯に対して警戒を呼びかける統一的な情報はこれまで皆無でした。もちろん、線状降水帯による大雨が見込まれれば警報などでこの先の雨の状況が危険となることは伝えられます。しかしながら、線状降水帯というキーワードを前面に出して警戒をよびかけるということは取られていませんでした。
気象庁はこの空白となっている部分を埋めるため、2021年から「線状降水帯が発生しつつある」という情報を発表する方針であるといいます(日テレニュース参照)。
報道によれば、線状降水帯に関する直前の情報を発表するタイミングとして気象庁が目指すのは「危険な状況となる数時間前」とのこと。もしこれが本当に実運用されれば直前の対策に役立つものとなる可能性があります。
まとめ
民間気象会社のウェザーニューズは気象庁に先行し、「線状降水帯マップ」で線状降水帯発生の可能性をすでに予測として伝え始めています。
民間の情報であれ、気象庁が検討を進めて発表しようという情報であれ、1)十分なリードタイム(猶予時間)を持って情報が発表されているか、2)線状降水帯をどの程度補足しているか、3)事前の予測ができない見逃しが発生していないかなどは情報を使う側として留意しておきたいところです。
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