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浸水想定に基づく内水氾濫の危険箇所
ある規模の大雨が想定されるときに、どこでどういった影響を出る可能性があるのかを図に示したのが浸水想定図です。下水などで処理しきれない水が市街地などに溢れる内水氾濫の場合にも、この発想に基づいた図が自治体によって公開されている場合があります。「○○市町村 内水氾濫 浸水想定図」と検索して調べてみるか、自治体に問い合わせてみましょう。
想定に使われる雨量
内水氾濫の浸水想定図の元となるのは、想定上の大雨です。自治体によっては他の地域で起こった大雨の例を利用することもあれば、その地域でこれまで観測された最大の雨量を前提条件にしていることもあります。それぞれ見ていきましょう。
他の地域で起こった大雨を前提として利用したもの
例えば大阪市が公開している内水氾濫の浸水想定区域図の場合は、2000年9月に東海地方で発生した豪雨(東海豪雨)クラスの大雨が計算に利用されています(出典はこちら)。東海豪雨で記録された総雨量567mm、時間最大雨量93mmの雨がもし大阪で発生したらどこでどのような内水氾濫が発生しうるかが示されています。

(大阪市の内水浸水想定区域図(こちら)より)
この総雨量567mm、時間最大雨量93mmという雨は停滞した前線に台風からの湿った風が流れ込んで継続的に大雨となったことによりもたらされました。いわゆるゲリラ豪雨のように、いっときにざっと大雨となるタイプの雨ではありません。
東海豪雨のように持続的に大雨となる場合には内水氾濫だけではなく、外水氾濫の危険性も高まります。事実、東海豪雨災害で中規模の河川が決壊して外水氾濫による被害も発生しました。先ほどの大阪市の図はあくまで内水氾濫のみによる浸水想定であるので、実際にこの規模の降雨となる際には外水氾濫の危険性が高まることも念頭に入れておく必要があります。
その地域で起こった最大の雨量を利用したもの
大阪市の例は別の地域で発生した大雨を適用させたものでしたが、北海道帯広市の場合はその地域で観測された過去最大規模の雨量をシミュレーション上で再現して内水氾濫が起こりうる場所を示しています。帯広市では平成27年8月11日に1時間あたり39ミリの雨が降りました。それが過去最大降雨です。計算結果は次の通りで、市街地の多くで内水氾濫が発生しうることを示しています。

(出典はこちら)
このタイプのハザードマップの場合もですが、過去の最大規模の降雨を上回る規模の大雨が今後降らないとも限らないのでその点注意が必要です。記録を更新するような大雨となった場合には、浸水場所が拡大したり、想定とは異なる浸水深となったりする可能性もあります。
まとめ
皆さんも一度、内水氾濫の浸水想定図が公開されていないか調べてみてください。もし公開されている場合にはどういった想定が利用されているかまで含めて確認しておくとよいでしょう。他の地域で大きな災害が起こった際の記録が使われているのであれば、内水氾濫だけではなく外水氾濫にも注意が必要です。過去最大の雨量が使われているのであれば、それを上回る規模の大雨となれば被害の様相が変わりうることを念頭に入れておかなければなりません。