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ストップウォッチで測るもの
水害避難訓練を企画する立場にある人は、実際の水害時にも意思決定や全体の指揮に関わる立場にある人だと思います。そうした方が水害に対する避難訓練を実施する時にはぜひストップウォッチを持って訓練に臨んでもらいたいと思います。
さて、ストップウォッチで何を測るのでしょうか?
水害は防災情報によって危険の高まりが事前に分かる災害です。しかし、いつも早い段階から確実な情報が発表される訳ではありません。特に事前に予報された通りに現象が進展しない時には、あれよあれよという間に危機的な状況に陥っていくことも十分あり得ます。
水害対策を指揮する際には、雨の降り方や河川の増水の仕方に応じて臨機応変に対策を繰り出していくことが求められます。
その状況で頭に入れておくと役立つのは、あなたの組織が水害や土砂災害に備えて最短で何分あるいは何時間で対応が整うのかという点です。訓練の中でストップウオッチで測ってもらいたいのはその所要時間の目安です。対応が完了するまでに必要とする時間はリードタイムと呼ばれます。
あなたが必要なリードタイム
訓練の中で掴んだリードタイムは「今から訓練をするぞ」という心構えで事前の訓練シナリオに沿って参加者が動いた時間にすぎません。実際に大雨が降っている時や夜間・休日などには訓練で測ったリードタイム以上に時間を要する場合があると見ておきましょう。
防災情報とリードタイム
訓練の中で把握するリードタイムですが、訓練実施後の見直しのために、何の行動にどれぐらいの時間を要したかを詳しく記録しておきましょう。その上で各行動を積み上げた合計時間を確認してください。2~3時間ですか?それとも10分や30分以内といった状況でしょうか?
防災情報の中には早くから危険を知らせるものと、直前の危険の高まりを伝えるものがあります。リードタイムとして訓練の中でも2~3時間以上かかるのであれば、そのリードタイムに適した防災情報を使わなければなりません。リードタイムとして数時間必要なのに目先に差し迫った危険を示す情報を意思決定に使ってしまうと、時間切れの事態となりかねず危険です。
あなたのリードタイムに合わせて見るべき防災情報を明確化し、行動の契機(トリガー)を正しく設定していくためにも、水害の避難訓練を行う際にはストップウオッチを使って所要時間の把握を実施してみてはいかがでしょうか?